• 検索結果がありません。

非上場株式等についての相続税の納税 猶予及び免除

Ⅲ 適用関係

2   非上場株式等についての相続税の納税 猶予及び免除

⑴ 適用対象と納税猶予の期限

 経営承継相続人等が、認定承継会社の代表権 を有していた一定の個人(以下「被相続人」と いいます。)から相続又は遺贈によりその認定 承継会社の非上場株式等(下記3(措法70の 7 の 3 ①)によりその被相続人から取得したもの とみなされる特例受贈非上場株式等に係る認定 承継会社の株式等を除きます。)の取得をした 場合には、その非上場株式等のうち特例非上場 株式等に係る納税猶予分の相続税額に相当する 相続税については、相続税の申告期限までに一 定の担保を提供した場合に限り、その経営承継 相続人等の死亡の日までその納税が猶予されま す(措法70の 7 の 2 ①)。

 なお、その相続に係る相続税の申告期限まで に、共同相続人又は包括受遺者によってまだ分 割されていない非上場株式等は、この特例の適 用を受けることができません(措法70の 7 の 2

⑦)。

① 経営承継相続人等の範囲

 被相続人から相続又は遺贈により認定承継 会社の非上場株式等の取得をした個人で、次 に掲げる要件のすべてを満たす者(その者が 2 人以上ある場合には、その認定承継会社が 定めた一の者に限ります。)をいいます(旧 措法70の 7 の 2 ②三、旧措令40の 8 の 2 ⑪)。

イ 相続開始の日から 5 か月を経過する日に おいて、認定承継会社の代表権を有してい ること

ロ 相続開始の時において、

イ その個人及びその個人の同族関係者等 の有する認定承継会社の非上場株式等の 議決権の数の合計が、その認定承継会社 に係る総株主等議決権数の100分の50を 超えること

ロ その個人が有する認定承継会社の非上

場株式等に係る議決権の数が、その個人 の同族関係者等のうちいずれの者が有す る議決権の数をも下回らないこと ハ その個人が、相続開始の時からその相続

に係る相続税の申告期限まで引き続きその 相続又は遺贈により取得をしたその認定承 継会社の特例非上場株式等のすべてを有し ていること

ニ 相続開始の直前において、その会社の役 員であったこと

② 認定承継会社の範囲

 中小企業者のうち、経済産業大臣認定を受 けた会社で、相続開始の時において、次に掲 げる要件のすべてを満たすものをいいます

(措法70の 7 の 2 ②一、措令40の 8 の 2 ⑦~

⑩)。

イ その会社の常時使用従業員の数が 1 人以 上であること

ロ その会社が、資産保有型会社又は資産運 用型会社(事業実態があるものを除きま す。)に該当しないこと

ハ その会社及び特定特別関係会社の株式等 が非上場株式等に該当すること

ニ その会社及びその会社の特定特別関係会 社が性風俗関連特殊営業を営む会社に該当 しないこと

ホ その会社の特別関係会社が外国会社に該 当する場合(その会社又はその会社との間 に支配関係がある法人がその特別関係会社 の株式等を有する場合に限ります。)には、

その会社の常時使用従業員の数が 5 人以上 であること

ヘ その会社の相続の開始の日の属する事業 年度の直前の事業年度における総収入金額

(主たる事業活動から生ずる収入の額に限 ります。)が、零を超えること

ト その会社の黄金株をその会社に係る経営 承継相続人等以外の者が有していないこと チ その会社の特定特別関係会社(外国会社 を除きます。)が、中小企業者に該当する

こと

③ 被相続人の範囲

 相続開始前に認定承継会社の代表権を有し ていた個人で、相続開始の直前(その個人が その相続開始の直前においてその認定承継会 社の代表権を有しない場合には、その個人が 代表権を有していた期間内のいずれかの時及 びその相続開始の直前をいいます。)におい て、次に掲げる要件のすべてを満たすものを いいます(措令40の 8 の 2 ①)。

イ その個人及びその個人の同族関係者等の 有する認定承継会社の非上場株式等の議決 権の数の合計が、その認定承継会社に係る 総株主等議決権数の100分の50を超えるこ と

ロ その個人が有する認定承継会社の非上場 株式等に係る議決権の数がその個人の同族 関係者等のうちいずれの者が有する議決権 の数をも下回らないこと

④ 特例非上場株式等の範囲

 相続又は遺贈により取得した非上場株式等 のうち相続税の申告書にこの特例の適用を受 けようとする旨の記載があるもので、相続開 始の時におけるその認定承継会社の発行済株 式又は出資(議決権に制限のないものに限り ます。)の総数又は総額の 3 分の 2 (その相 続開始の直前においてその相続に係る経営承 継相続人等が有していたその認定承継会社の 非上場株式等があるときは、その総数又は総 額の 3 分の 2 からその経営承継相続人等が有 していたその認定承継会社の非上場株式等の 数又は金額を控除した残数又は残額)に達す るまでの部分をいいます(措法70の 7 の 2 ①、

措令40の 8 の 2 ④)。

⑵ 納税猶予分の相続税額の計算

 次の①に掲げる金額から②に掲げる金額を控 除した残額が納税猶予分の相続税額となります

(措法70の 7 の 2 ②五、措令40の 8 の 2 ⑫~)。

① 特例非上場株式等の価額を経営承継相続人

等に係る相続税の課税価格とみなして、相続 税法第13条から第19条まで、第21条の15第 1 項及び第 2 項並びに第21条の16第 1 項又は第

2 項の規定を適用して計算したその経営承継 相続人等の相続税の額

② 特例非上場株式等の価額に100分の20を乗 じて計算した金額を経営承継相続人等に係る 相続税の課税価格とみなして、相続税法第13 条から第19条まで、第21条の15第 1 項及び第 2 項並びに第21条の16第 1 項又は第 2 項の規 定を適用して計算したその経営承継相続人等 の相続税の額

⑶ 経営承継期間内に納税猶予期限が到来する場 合(猶予税額の全部確定)

 経営承継期間内に、この特例の適用を受ける 経営承継相続人等又は特例非上場株式等に係る 認定承継会社について次に掲げる場合などに該 当することとなったときには、それぞれ次に定 める日から 2 か月を経過する日が納税の猶予に 係る期限となります(措法70の 7 の 2 ③、旧措 令40の 8 の 2 ~)。

① 経営承継相続人等が認定承継会社の代表権 を有しないこととなった場合(一定のやむを 得ない理由がある場合を除きます。) その有 しないこととなった日

② 各第 1 種基準日の認定承継会社の常時使用 従業員の数の合計を経営承継期間内に存する 第 1 種基準日の数で除した数が、相続開始の 時における常時使用従業員の数の80%を下回 る数となった場合 経営承継期間の末日

(注) 「第 1 種基準日」とは、経営承継期間(相 続税の申告期限の翌日から同日以後 5 年を 経過する日又はその相続に係る経営承継相 続人等の死亡の日の前日のいずれか早い日 までの期間をいいます。)のいずれかの日で、

申告期限の翌日から起算して 1 年を経過す るごとの日をいいます。

③ 経営承継相続人等及びその経営承継相続人 等の同族関係者等の有する議決権の数(認定

承継会社に係るものに限ります。)の合計が、

その認定承継会社に係る総株主等議決権数の 100分の50以下となった場合 100分の50以下 となった日

④ 経営承継相続人等の同族関係者等のうちい ずれかの者が、その経営承継相続人等が有す る認定承継会社の非上場株式等に係る議決権 の数を超える数の議決権を有することとなっ た場合 その有することとなった日

⑤ 経営承継相続人等が特例非上場株式等の一 部の譲渡等をした場合 その譲渡等をした日

⑥ 経営承継相続人等が特例非上場株式等の全 部の譲渡等をした場合(株式交換等により他 の会社の株式交換完全子会社等となった場合 を除きます。) その譲渡等をした日

⑷ 経営承継期間内に納税猶予期限が到来する場 合(猶予税額の部分確定)

 経営承継期間内に認定承継会社が適格合併を した場合又は適格交換等をした場合において、

経営承継相続人等が、その適格合併をした場合 における合併又はその適格交換等をした場合に おける株式交換等に際して、吸収合併存続会社 等(会社法に規定する吸収合併存続会社又は新 設合併設立会社をいいます。)及び他の会社

(その認定承継会社が株式交換等により他の会 社の株式交換完全子会社等となった場合におけ る当該他の会社をいいます。)の株式等以外の 金銭その他の資産の交付を受けたときは、猶予 中相続税額のうち、その金銭その他の資産の額 に対応する部分の額に相当する相続税について は、その合併又はその株式交換等がその効力を 生じた日から 2か月を経過する日が納税の猶予 に係る期限となります(旧措法70の 7 の 2 ④、

旧措令40の 8 の 2 )。

(注) 「猶予中相続税額」とは、納税猶予分の相続 税額から、一部確定した税額を除いたものを いいます。

⑸ 経営承継期間後に納税猶予期限が到来する場

 経営承継期間の末日の翌日から猶予中相続税 額に相当する相続税の全部につき納税の猶予に 係る期限が確定するまでの間において、この特 例の適用を受ける経営承継相続人等が特例非上 場株式等の一部の譲渡等をした場合などに該当 することとなったときには、猶予中相続税額の うち、その譲渡等をした特例非上場株式等の数 又は金額に対応する部分の額として計算した金 額などについては、その譲渡等をした日などか ら 2か月を経過する日が納税の猶予に係る期限 となります(措法70の 7 の 2 ⑤、旧措令40の 8 の 2 ~)。

⑹ 納税猶予税額が免除となる場合

 この特例の適用を受ける経営承継相続人等が 次のいずれかに掲げる場合に該当することとな った場合には、次に定める相続税が免除されま す(旧措法70の 7 の 2 ⑯、旧措令40の 8 の 2

)。

① 経営承継相続人等が死亡した場合 猶予中 相続税額に相当する相続税

② 経営承継期間の末日の翌日以後に、経営承 継相続人等が特例非上場株式等につき贈与税 の納税猶予制度(措法70の 7 ①)の規定の適 用に係る贈与をした場合 猶予中相続税額に、

その贈与をした特例非上場株式等(措法70の 7 ①の規定の適用を受けるものに限ります。)

の数又は金額が、その贈与の直前における特 例非上場株式等の数又は金額に占める割合を 乗じて計算した金額に相当する相続税

⑺ 他の納税猶予との重複適用の排除

 経営承継相続人等が、認定承継会社に係る株 式等について、この特例の適用を受けようとす る場合において、その経営承継相続人等以外の 者がその認定承継会社と同一の会社の株式等に ついて、この特例、非上場株式等についての贈 与税の納税猶予及び免除(措法70の 7 ①)又は